さてオフシーズン。前にも書いたが「レースがオフ」なのであって、ここからが「トレーニング全開シーズン」となる。選手たちは来年に向けてしっかり走り込み、しっかり技術を磨き、自分達の「殻」をぶち破る準備をしておいてほしい。
エイジ選手たちも、まず身体の回復。そして家族を含めた関係者への感謝に気持ちをしっかり示しておくことが重要だ。奥様や旦那様のサポートなくしてレース活動はありえない。プロ選手のスポンサー対応と全く同じだ。
先日、コーチ会議で井出を指導する飯島監督の講演があった。チーム員たちには、充分な練習量を積ませること、その上でスピード練習をさせること、トライアスロン練習に限定しない様々なトレーニングを取り入れることが語られた。
SWIMであれば最大時には競泳選手並の1万メートルを軽く超え、BIKEでは実業団選手並みの300km
まで走り込む。RUNは怪我を配慮して20km程度に留めているとあったが、さてこれと同等の練習をしているエリート選手がどれほど存在するのか?
この程度の話は、私が選手だった20年前以上も昔から言われ続けていること。それぞれの種目で、専門種目選手と対等のトレーニングを積んでいなければトライアスロンであっても通用しない。科学的な練習を追及する前にまず基本的な練習を実行してほしいものだ。オリンピックに出場した5名は辛うじてこれに対応できている。その他の選手はどうだろう?
2012年ロンドン五輪に向けての戦いは既に開始されている。4年間に及ぶ長くも短い戦いのゴングはなった。本気で目指す選手はそのことを充分に知っておこう。「ロンドンまで、まだ4年ある」と考えている選手は既に敗れている。「ロンドンまで、あと4年しかない」と必死になった選手だけが生き残るだろう。
日本選手権ではそういう気持ちで走っている選手が数名確認できた。嬉しい結果である。「メダル獲得」を本気で口にするのであれば、まずは行動で見せてほしい。
井出、庭田、上田の3ショット。彼女たちは本当の意味で「強さ」を持っている。性別も年代も違うけど、自分が現役だったらガチで勝負してみたいと思わせる選手たちだ。
昨年に続き、白戸、入山と共に場内実況をする私。こちらでは私自身にもトレーニングがまだまだ必要だ。わざわざ見学に来てくれた格闘技仲間が撮影。
中山俊行プロフィール
中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。
【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝
1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督