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第63回「2009年 幕開け」

2009年が始まって既に2週間が経過。激動の世界経済はトライアスロンのみならず、スポーツ界全体、そして私自身にも大きな影響を及ぼしている。
そういえば2008年の新年は右拳骨折で迎え、2009年新年は肋軟骨損傷で迎え、相変わらず怪我が絶えないのも大問題。身体能力で闘う者は、より身体能力の優れている者により倒される。才能や筋力、心肺機能のみに頼らない戦い方を研究するキッカケとなった。
トライアスロンに新たな境地が開けるよう、まずは自分自身で修行をし直し、実験を重ねてゆきたいと思う。それが2009年の私の目標。さて、ほとんどの選手はシーズンに向けて始動していることだろう。
オフのトレーニングで大切なことは基礎体力作り。RUNやBIKEの走りこみ。SWIMでのフォーム改善&泳ぎ込み。ウエイト・トレーニングによる怪我予防のための筋力強化などなど。ペースを落としてでも距離や時間を増やす&フォームを直す。この時期のトレーニングで自分のトレーニング容量(基礎体力の大きさ)が決まってしまう。このトレーニング容量が少なければ、その後にスピード練習をしても十分な効果が上がらない。また怪我をしやすい、シーズン後半まで体力&気力が持たない。こういう事態になる。記録を狙う選手であれば、このオフの過ごし方で翌シーズンの成績の50%以上が決定すると考えよう。一方、完走派の選手達にとっても大切な季節。量は少なくても構わないが、練習を日常生活の一部として取り入れられるか、練習すること自体に慣れることができるか、仕事とレースのバランス&リズムを作れるのか、などなど重要な時期となる。また、ここでしっかり練習ができれば、レース直前に仕事が忙しくて1~2週間、練習ができない時期があっても乗り切ることは可能だ。逆にここで手抜きをしている選手ほど、レース直前にあわてて練習することになる。トライアスロンとは自分自身との対話のスポーツ。頑張ることも必要だけど、無理しないことも大切だ。オフシーズンにレースと同じようなスピードで走りたがる選手、寒風吹きすさぶ中、レースシーズンと同じ練習をしている選手は、「練習のための練習」「自己満足のための練習」にしかなっていない。頑張った割には好成績が望めない。苦行=好成績にはならないのだ。目的や季節にあったトレーニングを実施してゆこう。

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力に頼り、自滅をした。1年ぶりの試合は自分の故障で敗北を招く。「強さとは何か?」。現役時代からのテーマは、今だに解決できていない。

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ITU世界選手権シリーズの1戦となった横浜大会。花上会長はじめ大会事務局の準備は着々と進んでいる。果たして日本選手は何人出場できるのだろうか。頑張れ、ニッポン!

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本の
トライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタート ライアス
ロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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