8月26日、抜けるような秋空のなか、「うつくしまトライアスロンinあいづ」が開催された。昨年大会は震災の影響によってコースが著しく変更され、猪苗代町内での大会となったが、今回は「磐梯山を遠くに見ながら猪苗代湖を泳ぎ、バイクで40キロ移動して暑い盆地の会津若松を走る」という、本来の「うつくしまコース」が復活。参加者数も過去最高の520名を記録し、ロンドン五輪代表の女子選手3名も応援に駆けつけるなど、主催者と選手にとっては復活を祝う贅沢なイベントとなった。スイムコースはバンガローも点在する猪苗代湖の天神浜。ただ、早朝のニュースで「雨乞い」の儀式が流れていたほど、今年の雨量は少ないらしい。スタート地点は浜から150メートル沖合だが、そこでも水位は膝くらいしかない。1周750メートルを2周回し、その後は浜までの150メートルを歩くか、走るかしてバイクへと向かうことになる。
森崎俊紘競技委員長によると、「第1回大会は、浜から泳ぐことができた」というから、年々湖水は少なくなっているということか。鏡面のように静かな猪苗代湖は、水も澄んでいて泳ぎやすい。「浅さ」も初心者向きといえるが、「浜までの150メートルを走って脚を使わないように」と呼びかけていた。
バイクは天神浜をスタートし、磐梯山に見守られながら猪苗代町と磐梯町を抜けて会津若松市の会津大学に向かうコース。特徴はスタート地点とフィニッシュ地点の高低差が約300メートルあり、ほぼ下りということだ。秋になりかけた東北を駆け抜ける爽快感は、「うつくしま」ならではといえる。
ただ、震災の影響はまだ残っている。競技説明会で「橋と道路との境にある段差に注意を」とあったように、道路の復旧が終わっていない箇所も多い。
一昨年はコースがきれいに整備されていることに驚いた。昨年は雨の中、青いビニールシートで覆われた橋や工事中のでこぼこした路面見ながら、コケないように集中して走るのが精一杯だった。今年はコースが復活したが、このコースに戻すための苦労はどれほどのものだったのだろう。
ランは残暑厳しく、日陰のない、真っ平らな会津大周辺のコースを2周回し、地元産の桃やスイカ、氷菓子が待つゴールへと向かう。最高気温は36℃だが、それ以上に感じる。痛いほどの日射しと発熱しそうな気温の中を走る選手を学生や地域の人たちが声をかけ、応援していた。「うつくしま」は、ボランティアの姿も健在だった。
レース後は、会津大の学生食堂を会場に、表彰式と友情交歓パーティが開催され、例年どおり、「全日本トライアスロン宮古島大会」へ優待派遣される抽選会も行われた。参加者や応援に訪れた人たちが寄せ書きした「福島へ応援メッセージ」は、県内の公共施設などに掲示されるという。
なお、本大会は日本トレイアスロン連合の「エイジランキング対象大会」に指定され、2012東北女子選手権(日本選手権東北女子代表選考レース)、県選手権・東北トライアスロンサーキット第7戦も兼ねている。 |