日本一暑い館林地区で真夏に開催される「東京都トライアスロン渡良瀬大会」。今年は最高気温38℃を記録した猛暑日となった。スイムは渡良瀬遊水池(谷中湖)に設置された片道375メートルの直線往復コースを2周回する。今年は水位が低く、水中スタートになった。午前5時30分に31.6℃あった水温は、エイジスタートの午前10時になると33℃まで上昇。ウエットスーツは「着用推奨」だが、選手はほぼ着用しているため、疲労の度合いも強くなる。上昇する気温を予想し、アナウンスもスタッフも「選手も応援も脱水に気をつけてください」と繰り返していた。
バイクコースは遊水池内の道路を利用し、1・2周目(5.6キロ)を2周回、3〜6周目(7.2キロ)を4周回する。フラットで道路幅も広いため、初心者でも走りやすいコースだ。日射しは強いが、風を感じられるバイクはまだ暑さをしのげるのではないか。
ランは遊歩道に設けられた5キロを2周回するコース。正午前になると日射しはさらに強くなり、気温はさらに上昇。日陰を探しながらの応援でも汗が噴き出すのに、選手は炎天下で大粒の汗を流しながら黙々と走っている。
12時30分、気象庁が発表した気温が35.6℃を越えた。日本体育協会がとりまとめている「熱中症予防のための運動指針」において、「WBGT温度が31℃以上」(運動は原則中止)となったため、大会側がレースの中止を宣言。これ以降、選手はランの2周回目に入れなくなった。過去にも高温のためエイジの「51.5」が「スプリント」に変更された年があった。毎年暑いことで知られるこの大会。暑さに対して耐性、強さがものをいうレースだ。
本大会は「東京都トライアスロン選手権大会」が併設されており、11月に開催される「日本トライアスロン選手権東京港大会東京ブロック代表選考会」にもなっている。エリートはエイジにさきがけ、午前7時にスタート。早朝にもかかわらず多くの人が駆けつけ、エリートの迫力あるレース展開に見入っていた。
バイクの周回を間違えるハプニングがあった男子は、梅田祐輝(埼玉県連合)が優勝し、次いで阿部吉貴(PISPORT)、三位に井上一輝(東京ヴェルディ)が入った。女子はラン前半まで接戦だったが、最後まで力強い走りをみせた高嶺直美(東京都連合)が2位以下を引き離し、嬉しい初優勝を飾った。
石垣島でデビューしてトラ歴3年目の川合尚さん
「渡良瀬大会は自宅(東京都)から近いし、昨年はエントリーしたけど台風で中止になったので再度挑戦。しかし、暑かった。バイクは風があるからまだいいですが、スイムは水温が高くてうまく呼吸できなくて。つぎは珠洲にエントリーしています。初ミドル完走に向け、がんばります」
今年7月にラムサール条約(水鳥湿地保全条約)に認定された遊水池周辺では、マラソン大会や熱気球、スカイダイビングなどのスポーツも行われる。当日も遠くに熱気球が浮かんでいた。
「熱中症予防のための運動指針」についての詳細はこちら
http://www2.japan-sports.or.jp/medicine/guidebook1-2.html |