スイムは日本三景・安芸の宮島・厳島神社の大鳥居から対岸まで。広島名産の牡蠣いかだを見ながら、大野瀬戸を2.5km泳ぎ渡るコースだ。瀬戸内海の潮流が思ったよりも強く、多くの選手が流され、コースとは全く違った方向から上がってきていた。
泳ぎ切ったスイムフィニッシュエリアには多くの観客とボランティアが待ち受ける。選手たちはたくさんの声援を受けながらバイクスタート。今年は一部コースが変更され、広々としたトランジットエリアから、なんと国道2号線を一部交通規制して中国山地へ向かう55kmの設定となっていた。
本大会の55kmのバイクコースは、瀬戸内海沿岸部から中国山地にむかって標高差850mのヒルクライムだ。トップ選手でも2時間を超える。前半の住宅地ではびっくりするほどの観客の声援が選手を後押しする。「ウッドマン」という呼称の通り、新緑の中国山地の林道は実に気持ちよく、都会派のアスリートには癒しの自然を満喫できる。中盤と後半にある2つの激坂を超えて吉和魅惑の郷でバイクフィニッシュ。いよいよ最後のランとなる。
20kmのランコースは、コース中最高標高900mを登って降りる一部折り返しのコース。一緒に参加した仲間たちとすれ違い、励ましあうことができる。ここでも多くのボランティアや地元の住民の声援を受け、勇気をもらえる。エイドステーションでは、飲み物を一滴でも多く渡そうとがんばるボランティアの女子学生や選手が求めるアイテムを大声で伝える地元の青年たちが…。そんな光景にこの大会の意気込みと優しさを感じる。
最終フィニッシュは吉和のグッドウィル美術館。「広島」で「鉄人」といえば、広島東洋カープの衣笠幸男氏だ。その衣笠さんが今回はゲストとして迎えられ、多くの選手たちに声援を送っていた。
冒頭にも述べたが、ワンウェイのトライアスロン開催には膨大な労力が必要だ。600名近い参加者の安全を守りながら、より楽しんでもらおうとする主催者、広島県トライアスロン協会、消防、警察、自衛隊、そしてたくさんのボランティアの方々に感謝したい。