28回目を迎えた「天草国際トライアスロン大会」は、オリンピックディスタンスを国内で初めて開催した、トライアスロン発祥の地でもある。開催地の天草には、紺碧の海に囲まれた大小120余りの島々があり、多くの景勝地や南蛮文化、キリシタンの歴史を刻む建造物などを楽しむことができる。最近では野生のバンドウイルカが見られるイルカウオッチングも人気だ。天草が「宝島」といわれる理由だろう。その天草で開催される、歴史ある大会の人気の高さを示すように、今年も約1000名もの選手が集まった。
「アジアカップ」、「ジャパンカップ」、「ぎふ清流国体」の予選会などが併設されている本大会は、国内外からエリート選手や強豪エイジ選手が集結。中でも、世界的トライアスリートのピーター・ロバートソンがコーチとして自国の若手選手を集め、チーム「ヤングガンズ」を率いて参戦。終始レースをコントロールし、オーストラリアの選手層の厚さを見せつけていた。
スイム会場は、天草市の中心街からほど近い本渡海水浴場。遠浅の内海で透明度も高く、泳ぎやすい。コースは沖に向かって直線に370m、折り返していったん浜に上がり、2周回する。レース当日は波も風もない絶好のコンディションで、鏡のようにベタなぎだった。
レースは、スプリント男女を皮切りに、エリート男子、エリート女子、エイジ・リレー(ウエーブスタート)、アクアスロンの順でスタートした。広く、泳ぎやすいコースは、混乱も少なく、選手たちがそれぞれ思い思いのペースで泳いでいるようにみえた。
バイクは天草の美しい海岸線を走る20kmを折り返す往復のコースで、エイジもエリートも同じコースを辿る。多少のアップダウンはあるが、おおむね平坦で走りやすく、有明海の向こうに雲仙を眺めながらのバイクは、本当に気持ちよさそうだ。本大会のリピート率が高いのもうなずける。
ランは本渡海水浴場から内陸を周り、天草市街にある本渡運動公園陸上競技場を目指すコースで、途中、2つの長い登り坂と最後に橋のアップダウンがある。ランに入る頃には気温はぐんぐん上がり、最高気温は28.5℃に。風はさわやかだが、暑さとの戦いとなった。コース上に設けられた8カ所のエイドステーションでは、頭から水をかぶって涼をとる選手も多くみられた。
天草市街地に入ると応援も多くなり、選手もその声援に応えながらゴールを目指す。
フィニッシュのあるメイン会場は、郷土料理や物産の販売などのブースが多数出店していた。ちょうど昼時がゴールとなるので、会場は仲間や家族連れで賑わい、お祭りのようだ。
エリートの部・男子は、キャメロン・ゴールドスミッド(ニュージーランド)が優勝。バイクまでは十数人の集団で展開していたが、終盤ランで抜け出すかたちとなった。日本勢の最高位は11位の石塚祥吾(日本食研)。
女子は、2位に約1分の差を付けてサラ・ダブル(オーストラリア)が優勝。3位に日本の佐藤千佳(湘南ベルマーレ)が入った。 |