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第113回U15、U19選手権とU15強化合宿

8月3日(日)は恒例のU15選手権、U19選手権が長良川で開催。
例年と違い今年はとても涼しいコンディションの中で開催された。
こうなると番狂わせは起こり辛い。
スピード自慢の選手、そしてミスをせず自分の力を出し切れた選手が勝つ結果となった。

U15女子は昨年に続き中山菜々美が優勝。
ライバルの酒井美有を振り切っての実力を示す。これには正直ビックリ。
来年も同じカテゴリーでの出場となるため史上初の3連覇達成となるかも知れない。
でも本当に期待したいのはエリートになってから。
頑張り過ぎないことを願いたい。

U15男子は大久保洋哉が優勝。
RUNに不安があるとしてBIKEから攻撃的に走る。
その積極性が功を奏し圧勝という結果になった。
この攻める心を持ち続けて、どんなレースでも走ってほしい。

U19女子は松本文佳が優勝。
SWIMだけで1分30秒遅れることは大問題だが、そのマイナスを自力で帳消しにする強さは全選手に見習ってほしい。
ユース五輪出場の久保埜南は3位。
これはこれで凄いのだが「勝つぞ」という気迫があると更に良い。

U19男子は山本康貴が優勝。
勝つことが当たり前の状況の中で優勝したことは評価できる。
ユース五輪代表の山崎向陽は3位。
アジア予選のとき見せた「死にもの狂いの走り」は見られなかった。
本番では気合い負けしないでほしいものだ。

文章にすればレース評価はアッサリとしたものだが、選手それぞれにドラマがあったことは言うまでもない。
勉強と練習の狭間で苦しみながら挑戦し、最後まで戦った選手たち全員を称賛したい。
だがこの評価はU19までであることを伝えておく。

U23カテゴリーに上がれば、今度はレース内容と結果を評価する。
完走すれば素晴らしいのはジュニアとエイジグループだけ。
本気でU23選手として戦うのであればエリート選手と同じ考え方、同じメンタル面の強さ、同じトレーニングの質を求めたい。
U23はエリートにつなげるための切り替えのカテゴリー。
ここで変化できなければエリートでは100%通用しないからだ。

レース終了後、U15選手はそのまま海津市の宿泊施設に移動して4日間の合宿に入る。
単純にトレーニングをするためではない。
エリートとして通用するための土台を作ってゆくことがU15合宿の目標。
日常生活に始まり、食事、勉強、トレーニング、共同生活、自己アピールなど、レースが終わった直後だからできる、普段では実施し辛い内容を盛り込んでいる。
何でもお父さん、お母さんにやってもらっていたレース前の作業。
「自分で動く」ということを習慣付けてゆくことも目的の一つだ。
蓮沼、斉藤といったコーチが何年も掛けて積み上げてきたU15合宿。
将来、エリート選手として戦えるようになることを期待している。

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U15選手権、U19選手権の上位3名が勢ぞろい。
今は素直に勝利を喜んでほしい。
だが本当に目指す目標は、はるか彼方なのだ。
この中の何名が生き残れるか。
全員であることを期待している。

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U15合宿の一コマ。
驚愕の風景だ。伸脚ストレッチが正しくできない。
練習はしているけど体のケアができていない。
その年齢にしなければならない基本的な運動をしていない選手が多すぎる。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)
1962年生まれ
日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。
日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。
引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】
第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝
第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表
アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)
初代・全日本ナショナルチーム監督
元・チームNTT監督
元・明治大学体育会自転車部監督

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