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第95回コラム「トライアスロンの新しい風。リレーの魅力。」

アイアンマンに代表されるロングディスタンス・トライアスロン。
オリンピック種目である51.5km。
その半分の距離SWIM750m、BIKE20km、RUN5kmで行われるスプリントディスタンスは2012年から世界トライアスロン・シリーズにも加えられ、国際トライアスロン連合としては、将来のオリンピック正式種目への仲間入りを果たそうと目論む。これに加えて今後はリレーが注目されていくだろう。
距離を更に短くして男女混合、1チーム4名を基本として開催される。
千葉県館山市で開催されたアジア選手権の中でも実施され、日本チームが中国、韓国とのゴールスプリントを制して優勝を遂げている。
2011年のアジア選手権でも開催され、このときも日本チームが優勝をしている。

競泳でも、陸上競技でも、リレーはなかなか魅力的な種目だ。
単一種目の競泳&陸上競技であれだけ盛り上がるのだから3種目が1つとなったトライアスロンでは更に盛り上がる。
種目での争いばかりではなく、トランジッションの良し悪しで大きく変動が起こるからだ。

館山のアジア選手権においては、オリンピック選考が掛っている上に、海外レースのスケジュールがタイトなため、エリート選手はリレーには不参加。
日本チームは、U23とジュニアとでチームを構成。
中国、韓国のエリート達と対決をした。

日本からは3チームが出場。
優勝を目指すチーム1。
U23選手を中心としたチーム2。
ジュニアを中心としたチーム3。
正式な順位に係るのは1か国1チームのみ。あとのチームは参考記録となる。
将来、オリンピック種目に入るかもしれないこのリレーに慣れさせるために、チーム3はほぼ初心者で構成された。

レースは、トランジションの失敗で思わず大苦戦。
これは選手のミスではなく、事前に適切なアドバイスをしなかった監督のミス。
選手だけでなく、コーチ・スタッフにとっても経験が必要だ。
それでも日本の若手王者達、三走の高橋侑子選手が一気にタイム差を挽回し、四走の椿浩平選手が勝負強さを見せて優勝を勝ち取る。

チーム2は途中まで、チーム1をカバーしレースを盛り上げる。ジュニア中心のチーム3も大健闘して三走まで先頭争いに加わった。
ゲーム感覚が強いリレー種目は、大会のフィナーレを飾るに相応しい盛り上がりを魅せてくれた。

トライアスロンの新しい種目「リレー」。
これからは大いに注目していってほしい。

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【写真1】
チーム1。2011年U23日本選手権、男女の日本王者が日本チームの勝利をもぎ取った。左から、伊藤喜志子、杉原賞紀、高橋侑子、椿浩平。

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【写真2】
これがU23、ジュニアの日本ナショナルチームだ。
チームJAPANとして全選手が一体感をもって行動。
個人競技であるトライアスロンにおいて、チームとして意識をもたせるためだ。
競技においては「最大のライバルこそ、最大の仲間」。
これを知っておいてもらいたい。

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【写真3】
エイジグループを制したのは神奈川から参加の寺田選手。
私・中山一族のご先祖さまは彼のお世話になっている。いつもありがとうございます。

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【写真4】
リレー1走の終了直後の様子。
1秒を掛けた戦いであることを選手は知っている。
出場できた選手、できなかった選手、その全員の想いを背負ってメンバーはレースを戦う。

中山俊行プロフィール

中山俊行(なかやま としゆき)

1962年生まれ

日本にトライアスロンが初めて紹介された18歳のときトライアスロンを始める。

日本人プロ第1号として、引退までの間、長年に渡りトップ選手として活躍。

引退後も全日本ナショナルチーム監督、チームNTT監督を歴任するなど、日本のトライアスロン界をその黎明期からリードし続けてきた「ミスタートライアスロン」。

【主な戦績など】

第1回、第2回 宮古島トライアスロン優勝

第1回、第2回 天草国際トライアスロン優勝

1989年から8年連続ITU世界選手権日本代表

アイアンマン世界選手権(ハワイ・コナ)最高順位17位(日本歴代2位)

初代・全日本ナショナルチーム監督

元・チームNTT監督

元・明治大学体育会自転車部監督

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